2026/9/9

  • YouTube

薬局YouTubeは内製できる?完全内製が難しい理由と判断基準

この記事を書いた人

薬剤師動画クリエイター。2019年に映像制作事業を立ち上げ、累計10,000件以上を制作。現在は薬局業界だけで11チャンネルを支援しています。支援先では、YouTube開始から1年未満の採用活動で10名の応募、5名の採用に至った事例があります。

「若い社員なら動画も作れそう」「スマートフォンと編集ソフトがあれば、外部へ頼まなくてもよいのでは」と考える薬局は少なくありません。

実際、動画を一本完成させるだけなら社内でもできます。

完全内製をおすすめできるのは、制作時間を勤務時間として確保し、企画と完成動画の品質を判断でき、外部の事例と比べながら改善し、担当者が変わっても続けられる薬局です。

私が薬局の相談を受ける中では、ここまでそろっているケースはほとんどありません。

撮影と編集ができても、視聴者が見たい企画を考え、音声、カット、BGMなどに違和感のない動画へ仕上げ、公開後の数字や候補者の反応から次の企画を変えられるとは限らないからです。

ここで扱うのは、採用や広報の成果を目的に、外部の視聴者へ継続して公開するYouTubeです。社内記録や、すでに関係のある人へ簡単な説明動画を数本送るだけなら、ここまでの制作体制は必要ありません。

この記事では、完全内製が難しい理由と、薬局側に何を残し、どこから企画・撮影・編集・分析の経験がある制作パートナーへ任せると無理なく続けられるのかを解説します。

動画を完成させることと、見てもらえる動画を作ることは別

YouTubeでは、動画が完成しただけでは成果になりません。

薬局の動画へ出演する社長や社員は、普段カメラに向かって話す仕事をしているわけではありません。

準備や編集なしで長く話し、視聴者を引きつけ続けられる人は多くありません。それを出演者本人の話し方だけで解決しようとせず、企画と編集で見やすくする必要があります。

そもそも見たいと思われる企画なのか。タイトルとサムネイルで内容が伝わるか。冒頭で離脱されないか。音声や編集に違和感がないか。公開後の反応から、次の動画を変えられるか。

ここまでそろって、初めて運用になります。

社内で起きやすいのは、撮影できた、編集できた、社内確認も通ったため「問題なく公開できる」と判断することです。

ところが、視聴者から見ると、次のような小さな違和感が積み重なっていることがあります。

  • マイクの音が遠く、話を聞き取りづらい

  • 効果音やBGMが大きい

  • カットの間が悪く、話が頭に入らない

  • 演出やテロップが内容に合っていない

  • 本題へ入るまでが長い

  • そもそも、視聴者が知りたいテーマになっていない

出演者がカメラで話すことに慣れていないうえに、音も聞きづらく、不要な間も残り、編集まで見づらければ、視聴者は内容へたどり着く前に離れます。

豪華な演出は必要ありません。聞きやすい音にする。不要な部分を切る。話の流れを整理する。BGMやテロップで内容を邪魔しない。出演者が持っている経験や人柄を、制作の粗さで減点しないことが大切です。

普段から多くの動画を見ている視聴者は、制作者が考える以上に目が肥えています。

薬局内で承認された品質と、YouTube全体の中で違和感なく見られる品質は同じではありません。

社員一人に任せても、内製体制ができたことにはならない

編集が得意な社員や、SNSに詳しそうな若手が一人いるだけでは、内製体制があるとは言えません。

YouTubeには、少なくとも次の仕事があります。

  • 発信の目的と、届けたい相手を決める

  • 見てもらえる企画と質問を考える

  • 出演者を決め、撮影日を調整する

  • 聞き取りやすく、違和感のない映像と音声を撮る

  • 編集とサムネイルを作る

  • 公開して、採用ページや面接前の案内でも使う

  • 数字や候補者の反応を見て、次の企画を変える

これらを通常業務の合間に一人で担うと、投稿が遅れるだけでなく、その社員だけが再生数や成果の責任まで抱えます。

担当者が異動、休職、退職すれば、社内に積み上げたつもりの運用も止まります。

完全内製を選べるのは、制作時間を正式な勤務時間として確保し、企画と品質を判断できる人がいて、担当者が変わっても続けられる薬局です。

私が相談を受ける中では、ここまでそろっている薬局はほとんどありません。

本数を減らしたくなっても、人員は簡単に調整できない

内製を考えるときは、制作を始めた後に、方針が変わる可能性も見ておきたいところです。

動画専任の社員を採用した場合、投稿を減らしたり、運用を止めたりしても、その人に任せる仕事は必要です。別の業務や配置を考える負担が残ります。反対に、制作を増やしたくなれば、今の人数で対応できるのか、増員や育成が必要なのかを考えなければなりません。

制作パートナーへ依頼する形なら、契約条件や対応できる制作量を確認しながら、本数や担当範囲を調整できます。採用や配置転換とは切り離して、必要な制作量を考えやすくなります。

既存社員が無理なく兼務できるなら、この負担は小さくなります。ただ、動画のために新しく人を雇うなら、始めるときの費用だけでなく、増やす・減らす・止めるときまで含めて比較した方がよいです。

社内だけで続けると、判断基準が閉じやすい

完全内製の難しさは、制作時間だけではありません。

社内だけで動画を作り続けると、判断基準も社内に閉じやすくなります。

出演者同士には面白い話でも、初めて薬局を知る求職者には前提が分からない。会社では魅力だと思っている制度でも、他の薬局にもあるため違いにならない。社内では見慣れた編集でも、YouTube全体で見ると古く見える。

社内で全員の承認が出たことと、外の視聴者に伝わることは別です。

複数の会社やチャンネルを支援している制作者には、社外の成功と失敗が蓄積されます。他社では何が見られたか、どこで離脱されたか、どんな見せ方に違和感が出たかを、次の案件へ持ち込めます。

一社の中だけで同じ量の知見をためるには、何本もの失敗を自社の時間と予算で経験しなければなりません。

制作費だけを見ると内製は安く見えます。ただ、社員の勤務時間、撮り直し、伸びない企画を続ける期間、担当者が辞めた後の再構築まで含めると、最初から知見のある人へ任せる方が安くなることがあります。

元カメラマンがいても、内製は約半年で止まった

フラワー薬局様には、元カメラマンの広報担当者がいました。

撮影と編集はできましたが、動画を公開しても再生数は一桁。何を変えれば見られるのか分からない状態が続き、投稿は次第に不定期になりました。その後、担当者は退職し、約半年で内製を続けられなくなりました。

ここで見るべきなのは、内製だから必ず失敗するという話ではありません。撮影と編集の経験がある社員一人へ、企画と成果の責任まで集中させても、YouTubeを運用する体制にはならないという点です。

制作パートナーへ依頼した後は、毎週動画を公開できる体制へ変わりました。薬局側で行う作業は、話したい内容の簡単なメモ、出演者の調整、完成動画の確認が中心です。

フラワー薬局様の内製と制作パートナー活用の事例はこちら

制作会社へ頼めば解決するわけではない

外部へ依頼しても、編集だけを行い、企画と品質判断を薬局側へ残す会社もあります。薬局や採用への理解が浅ければ、見た目は整っていても、どの会社にも当てはまる動画になります。

契約前には、誰が企画を考え、撮影で得た情報を編集へ反映し、公開後の改善まで担当するのかを確認する必要があります。

制作本数が多すぎれば、薬局側の撮影と確認も続きません。契約が終わった途端に運用が止まらないよう、動画、素材、アカウント、企画の記録を薬局側にも残すことも大切です。

内製か外部へ依頼するかだけではなく、成果へ必要な仕事を誰が担当し、薬局側に何が残るのかで比べます。

薬局側に残す仕事は、主に3つ

完全内製を勧めないからといって、薬局側が何もしなくてよいわけではありません。

薬局にしか出せない材料は、薬局側から提供する必要があります。主な仕事は次の3つです。

  • 動画で伝えたい内容の核を共有する

  • 出演者を決め、撮影日を調整する

  • 完成した動画の事実関係と公開可否を確認する

完成原稿を一から作る必要はありません。

伝えたいことを箇条書きや簡単なメモで共有すれば、制作側で企画、質問、台本へ整理できます。撮影も、原稿を暗記して一人で話すのではなく、質問に答える形で進められます。

薬局は、現場の事実、考え方、出演、最終確認を担う。制作側は、それを視聴者が見たい企画へ変え、撮影、編集、公開後の改善を担う。この分担が現実的です。

一部だけ内製するなら、社内の強みに合わせて分ける

社内に明確な強みがある場合は、一部だけ内製できます。

たとえば、すでにSNSで発信を続け、視聴者が何を求めているか分かる人がいるなら、企画と撮影を社内で行い、編集とサムネイルだけを任せる方法があります。

反対に、編集できる社員はいるものの、何を撮ればよいか分からないなら、目的整理、企画、分析だけを外部へ任せる分担もできます。

店舗の日常や社内イベントなど、速さを優先する短い発信はスマートフォンで内製し、代表インタビュー、社員紹介、仕事内容、教育体制など、採用で長く使う動画はプロと作る方法もあります。

「できそうな工程」ではなく、「外部の視聴者に通用する品質を判断できる工程」だけを社内に残すことが大切です。

完全内製を選ぶ前に確認したいこと

次の条件がすべてそろっているなら、完全内製も選択肢になります。

  • 企画、撮影、編集、公開、分析を担当できる

  • 制作時間を勤務予定に入れられる

  • 視聴者目線で完成動画の品質を判断できる

  • YouTube全体や他社事例と比較し、改善できる

  • 担当者が変わっても運用を引き継げる

どれかが欠けている場合は、その工程だけでも知見のある人と組んだ方が、遠回りを減らせます。

大事なのは、外部へ払う金額をゼロにすることではありません。採用や広報に使える品質の動画を、無理なく作り続けられるかです。

薬局マーケ支援隊では、現在の社内体制を確認し、薬局側に残す工程と、制作側が担う工程を整理します。すべてを任せる前提ではなく、自社で本当に回せる部分を残したプランも提案します。

薬局YouTubeの制作体制を相談する

どこまで社内で担い、何を制作会社に任せるか。薬局側の負担と依頼先の確認項目を整理した無料ガイドをご用意しています。社内での検討にもお使いください。

無料の「薬局YouTube 導入判断ガイド」を受け取る

コラム一覧に戻る

email