2026/9/5

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【失敗事例】YouTube運用でうまくいかなかった2つの事例。失敗から変えたこと

この記事を書いた人

薬剤師動画クリエイター。2019年に映像制作事業を立ち上げ、累計10,000件以上を制作。現在は薬局業界だけで11チャンネルを支援しています。支援先では、YouTube開始から1年未満の採用活動で10名の応募、5名の採用に至った事例があります。

YouTubeは、動画を公開すれば必ず成果が出る仕事ではありません。

私が関わった案件にも、成果につながったものだけでなく、思うような結果につながらず、途中で終了したものがあります。

中には、今振り返ると、企画以前に依頼の受け方や制作体制から変えるべきだった案件もあります。

今回は、その中でも、現在の支援方針を大きく変えるきっかけになった2つの案件を紹介します。

一つは、編集とサムネイルだけを安く受けた薬局YouTubeです。伸びない原因には気づいていましたが、「とにかく安く」という要望の中で担当できる範囲には限界があり、企画や出演者、撮影方法まで変えられませんでした。

もう一つは、代理店を通して支援した企業向けYouTubeです。「1年で登録者数千人」という強気な計画と月10本の制作が、私が入る前に決まっていました。内心ではかなり厳しいと思っていましたが、すでに契約は締結済みでした。

どちらも動画は納品しました。しかし、クライアントが求めていた成果で費用を回収できず、継続制作は途中で終了しています。

単に企画が外れたという話ではありません。課題に気づいても担当範囲の外にあるため変えられなかったことと、成果以外の都合で制作が進んでしまった構造まで書きます。

関係する企業や担当者が特定されないよう、社名、元の業種、正確な金額などは伏せています。

事例1:安く編集だけを受け、数回しか見られなかった薬局YouTube

起業当初、ある薬局から「予算を抑えたいので、編集とサムネイルだけお願いしたい」という相談を受けました。

企画と撮影は薬局側が行い、私は送られてきた素材を編集して、公開できる動画に仕上げる契約です。

当時の私は駆け出しでした。実績も今ほどなく、まず目の前の仕事を受けることに必死でした。

安い予算でも、依頼してもらえるなら受けようと考えていました。

ただ、実際素材を受け取ると、撮影時に出演者も自信を持って話せておらず、改善の余地も多くありました。

視聴者がこの人の話を聞きたいと思う根拠も弱く、社内には、もっと他に演者として向いている人がいることも知っていました。

見せ方、撮り方、話し方について、契約外でも可能な範囲でテキストで提案しました。

ただ、当時は学生で北海道に住んでおり、撮影現場へ行って直接変えることは難しい状況でした。

それ以上に大きかったのは、編集担当の立場では、運用全体を変える権限も工数も持っていなかったことです。

見せ方や撮り方については提案しましたが、出演者の変更まで求めると、演者本人へダメ出しをする形にもなります。

編集だけを依頼されている立場で、契約外の領域へどこまで踏み込むべきかという難しさもありました。

最終的に企画や出演者を決め、撮影を行うのは薬局側です。

当時は、成果を変えるために必要な範囲まで契約を見直すところには至りませんでした。

その結果、数回から数十回しか見られない動画を作り続けました。

再生されなければ、当然、費用は回収できません。数カ月で更新は止まりました。

薬局側は、予算を抑えて動画を作りたい。私は、その予算内で編集とサムネイルを担当する。

依頼された仕事は行いましたが、成果を変えるために必要な企画や撮影まで担当する設計にはなっていませんでした。

安く作れても、成果が出なければ一番高い

編集では、不要な部分をカットし、テロップや画像を加え、見やすい動画にできます。

ただ、誰が何を話すのか、求められている企画なのか、その人や薬局の魅力が伝わる撮り方になっているかは、撮影後の編集だけでは変えられません。

編集費だけを安く抑えても、企画と改善を判断できる人がいなければ、見られない動画が安く増えていくだけです。制作費は低くても、成果につながらないなら、その依頼は安くありません。

今なら「編集だけ安くやってほしい」という条件のまま、この案件は受けません。

企画や撮影へ意見を出せる範囲を確保するか、改善まで担当できる予算と進め方を提案します。それが難しければ、依頼を断ります。

事例2:厳しい計画だと思いながら進めた代理店案件

もう一つは、企業向けサービスの問い合わせ獲得を目的にしたYouTubeです。

代理店からクライアントへ、月10本の制作と「1年で登録者数千人」というシミュレーションが提示されていました。

私は、契約内容も本数も期待値も決まった後に代理店側の制作責任者として加わりました。

私は契約内容やシミュレーションの説明を後から受けた時点で、内心では「この商材で、この期間に数千人はかなり厳しい」と思っていました。一般の人が趣味で見るテーマではなく、仕事上の必要がある人が勉強のために見る、専門性の高いBtoBチャンネルだったからです。

ただ、契約はすでに締結されていました。私も事前にリソースが空いていると代理店側に返事をしており、制作責任者として呼ばれた後に「勝ち筋が見えないのでやめます」とは言えませんでした。

達成できるとは思えない数字を前提に、それでも現場では月10本を作る。

その状態で運用が始まりました。

なお、この代理店案件は、薬局マーケ支援隊を立ち上げる前に、私が外部の制作責任者として関わった案件です。薬局マーケ支援隊が代理店として受注した案件ではありません。

クライアントの成果より、決められた本数の納品が優先された

この案件が失敗した要因としては、関係者ごとに追っているものが違っていました。

クライアントが欲しいのは、YouTubeからの問い合わせです。

代理店は、契約を多く取り、毎月の売上を維持したい。

案件を管理するマネージャーは、関わる時間を減らすほど、自分たちの時給が上がり、利益を残しやすくなります。

その下で制作する私は、限られた報酬と時間の中で、企画、分析、月次の打ち合わせ、編集確認、投稿管理を進める必要がありました。

アサインされる前、私は「月10本を一人ですべて回せる自信はない」と伝えていました。

マネージャーから「私もしっかりサポートするので安心してください」と言われ、その支援がある前提で引き受けました。

ところが、運用が始まると、そのマネージャーはほとんど案件へ出てきませんでした。

企画を考え、毎月クライアントと話し、編集を確認して投稿する。

事前に聞いていたヘルプはなく、実質的には私が一人でプロジェクトを回す状態になりました。

月10本を一人で管理するだけでも、かなりの作業量です。企画を出し、撮影を進め、次々に上がってくる編集を確認し、公開を止めないように管理する。

まず制作を回すことで手いっぱいになり、公開後の数字を細かく分析して、次の企画へ反映する時間まで十分に取れませんでした。

それでも、毎月10本は公開しなければなりません。

投稿の反応が分かる前には、翌月の撮影日が迫っています。

クライアントが求めていたのは、YouTubeからの問い合わせです。

しかし制作現場では、毎月10本を予定どおり納品するだけで手いっぱいになり、公開後の結果を分析して企画を改善するところまで十分に時間を使えない状態になっていました。

このプロジェクトでは、クライアントの成果と、代理店、マネージャー、制作担当者の利益が一致していませんでした。

問い合わせは数件ありましたが、大きな運用費を回収できる水準には届きませんでした。

期待値にも届かず、継続的な企画と制作は半年で終了しました。

契約が終わった後に、動画が伸び始めた

皮肉だったのは、本運用が終わる頃から、一部の動画が検索で伸び始めたことです。

再生上位の動画は、半年の本運用を終えた時点で約5,000回再生でした。その約1年後には約3万回まで増えています。累計再生の8割以上が、本運用を終えた後に積み上がりました。

本運用は開始から半年で終了し、その後は投稿も止まっていました。それでも、チャンネル登録者は開始から約1年で1,000人を超えました。企業向けの専門チャンネルとして考えれば、極端に遅い結果ではありません。

しかし、成果が見えるまで待てる予算設計ではありませんでした。

月10本を大きな予算で作り続けたため、半年で期待値へ届かなければ契約を続けにくい。動画が検索で評価され始めた頃には、更新を続ける判断をするには手遅れでした。

最初から本数を抑え、小さく始めていれば、一本ずつ反応を見ながら改善し、予算を長く持たせられた可能性があります。

YouTubeは、本数を増やせば早く正解へ着くとは限りません。分析する前に次の制作が進むほど、本数を増やしたことが改善を遅らせる場合もあります。

2つの失敗から、現在の支援方法を変えた

薬局案件では、「とにかく安く」という条件の中で編集だけを担当し、課題に気づいても企画や撮影まで変えられませんでした。

代理店案件では、達成が厳しい計画だと思いながら、契約後に決められた条件を現場で進めました。成果を考える人と、契約を取る人、管理する人、制作する人が分かれ、全員の利益も一致していませんでした。

この経験から、現在はクライアントから直接相談を受ける仕事を中心にしています。

少人数で運営しているのも、固定費を抑えるためだけではありません。相談を受けた私自身が、企画、撮影、編集内容の確認、公開後の改善まで担当し、クライアントの成果と制作現場の仕事を分断させないためです。

現在は制作体制も整っており、制作側だけで考えれば、月10本や15本にも対応できます。

それでも、すべてのクライアントへ多い本数を勧めているわけではありません。

出演者の調整、話す内容の準備、撮影、完成動画の確認など、動画が増えるほどクライアント側の負担も増えます。YouTubeを数年続ける前提なら、短期間に大量投稿して疲弊するより、本数を少し抑えて長く続け、一本ずつ改善する方がよいケースもあります。

そのため、初めてYouTubeを運用する薬局には、まず月4本程度から始めることを提案しています。月1回の撮影で4本ほど収録し、週1本のペースで公開する形です。運用に慣れ、反応や成果が見えてきた段階で、必要に応じて本数を増やせば十分です。

代理店は、契約する投稿本数が増えるほど売上も増えやすいため、月の制作本数を増やす方向へ提案が寄りやすくなります。

薬局マーケ支援隊では、目先の売上を増やすために必要以上の本数は提案しません。ただし、これは私たちが売上を考えていないという話ではありません。

短期間に大量の動画を契約して半年で終わるより、無理のない本数で成果を積み上げ、5年、10年と支援を続ける方が、結果として私たちにとっても大きな利益になります。

関係が長く続くほど、薬局への理解も深まり、企画や制作の精度も上がります。

YouTubeは、始める前にすべての正解が分かる施策ではありません。だからこそ、私たちは勝ち筋を考えることと同じくらい、大きく負けない設計を大切にしています。

最初から本数と予算を大きくすると、最初の仮説が外れた時の損失も大きくなります。

小さく始めれば、反応を見ながら企画や見せ方を変えられます。最初の勝ち筋が外れても、予算と時間を残したまま改善し、勝てる形へ近づけられます。

ペイするイメージが持てない案件には、最初に懸念を伝えます。課題に気づいても、担当範囲や契約の都合で改善できない依頼も受けません。

無理のある提案で数ヶ月だけ売上を作るのではなく、少しずつ成果へ近づき、長期的に一緒に続ける。これが薬局マーケ支援隊の考え方です。

YouTubeを外注する前に確認したい4つのこと

制作会社から見積もりを受け取ったら、金額と本数だけでなく、次の4つを確認してください。

・契約前に示された目標は、似た業界の実績や現実的な前提から作られているか

・商談した人ではなく、実際に企画、撮影、品質判断を担当するのは誰か

・公開後の結果を誰が確認し、次の企画へ反映するのか

・結果に応じて、本数、予算、企画を変えやすい契約になっているか

営業時の数字が魅力的でも、実際に成果を出す人へ十分な時間と予算が渡っていなければ、現場では納品を回すだけになります。

安さだけで編集を切り出すことも、大きな予算で最初から本数を増やすことも、失敗につながる場合があります。

何本作るかを決める前に、誰が成果へ責任を持ち、結果を見て計画を変えられるのかを確認してください。

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