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薬局のLINE活用は「ファネル設計」で決まる|処方箋送信を増やす3ステップの設計と計測法
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「LINE公式アカウントは作った。でも処方箋送信はほとんど来ない」
薬局のLINE活用について相談を受けるとき、いちばん多いのがこの状態です。友だち数は数百人いるのに送信は月に数件、リッチメニューもあるのにタップされない。そして「LINEって薬局には向いてないのかも」という結論に落ち着いてしまう。
私は薬剤師として薬局の現場に立ちながら、これまで100アカウント以上の薬局LINEを構築・運用してきました。その経験から言えるのは、うまくいっていない薬局のほとんどは、機能や配信内容の問題ではなく「ゴールまでの流れ(ファネル)を設計していない」ことが原因だということです。
この記事では、薬局のLINE活用を「処方箋送信」というゴールから逆算し、患者さんの行動を3つのステップに分解して、それぞれに何が必要か、どう計測するかを整理していきます。
そもそもファネルとは?薬局LINEにおける意味
ファネル(funnel)とは「漏斗(じょうご)」のことです。マーケティングでは、ゴールに向かう人の数が段階ごとに絞られていく様子を、上が広く下が狭い漏斗の形にたとえてこう呼びます。
たとえば来局した患者さんが100人いたとして、そのうちLINEに登録してくれるのが30人、リッチメニューをタップするのが15人、実際に処方箋を送ってくれるのが5人、という具合です。各段階で人が減っていくのは自然なことで、問題は「どこで、どれだけ減っているか」を把握しているかどうかにあります。
ファネルで考えることの価値は、ここにあります。
「LINEがうまくいっていない」という漠然とした悩みが、「登録は取れているのにメニューがタップされていない」「タップはされているのに送信まで進まない」といった具体的に手を打てる課題に変わるからです。逆に言えば、ファネルを持たずに配信内容だけを頑張っても、そもそも詰まっている場所が別なら成果にはつながりません。
薬局LINEのゴールを「処方箋送信」に置く理由
LINEでできることは多く、お知らせ配信、健康情報、在庫問い合わせ、服薬フォローなど、やろうと思えばいくらでも機能を足せます。ただ、最初にすべてを狙うと、患者さんにとっては「何のためのLINEなのか」が分かりにくくなり、薬局側も何を計測すればいいのか分からなくなります。
だから私は、まずゴールを1つに絞ることを勧めています。その中でも処方せん送信は、次の理由で最初のゴールに向いています。
処方箋を事前に送ってもらえれば、患者さんの待ち時間が減り、薬局側は調剤の準備ができ、在庫の事前確認や欠品対応もしやすくなります。患者さんと薬局の双方にメリットがあり、しかも「送った/送っていない」が明確なので成果を数えやすい。他の機能(服薬フォローや健康情報の配信)は、この流れが回り始めてから乗せていけば十分です。
処方箋送信までの流れを3ステップに分解する
ゴールを処方箋送信に置いたとき、患者さんがそこにたどり着くまでの流れは、実際の行動とは逆順に考えると整理しやすくなります。
処方箋を「送付」するには、その前にリッチメニューで送信ボタンを「タップ」している必要があり、さらにその前にLINEに「登録」していなければなりません。つまり、
登録 → メニュータップ → 送付
という3つのステップが薬局LINEの基本ファネルになります。
この3ステップを別々の課題として扱うのがポイントです。「登録者を増やす」「タップさせる」「送らせる」は、それぞれ必要な工夫がまったく違います。以下、ゴールに近い「送付」から順に、各ステップで何が起きていて、何が必要なのかを見ていきます。
ステップ①「送付」:送るという行動を思い出してもらい、迷わせない
まず、いちばんゴールに近い「送付」の段階です。すでに登録していて、リッチメニューの送信ボタンも押している。それでも実際に送らない、または一度送ったきり二度と使わない、というケースは少なくありません。
ここで起きているのは、大きく3つです。
①そもそも送れることを思い出していない。 病院を出た瞬間に「LINEで送ろう」と思い出してもらえなければ、送付は起きません。登録から時間が経つほど忘れられます。
②送る操作が面倒、または不安。 写真を撮って送るだけのはずが、「どこを写せばいいのか」「ちゃんと届いたのか」「いつ取りに行けばいいのか」が分からないと、人は途中でやめます。
③使った後に「便利だった」と感じていない。 送ったのに結局待たされた、返事が来なかった、という体験があると、次回は使われません。
したがって「送付」の段階で必要なのは、①送れることを思い出させる仕組み、②送付を簡単にする設計、③利用後に便利だと実感してもらう運用、の3つです。
具体的には、受診日の近い患者さんへのリマインド配信、処方箋の撮り方を1枚の画像で示す案内、送信直後に自動で「受け付けました。○分後を目安にお越しください」と返す仕組み、そして店頭で「LINEで送ってくださったので、すぐお渡しできますね」と一言添える運用などがこれにあたります。特に最後の一言は、コストゼロで次回利用率を上げる、私がいちばん重視している施策です。
さらに一歩進めるなら、「送ると、薬局に来なくても薬が受け取れる」という体験をつくることです。処方箋をLINEで送り、そのままオンライン服薬指導を受けて、薬は自宅に配送される。この流れを一度体験した患者さんにとって、LINEは「待ち時間を減らす道具」から「薬局に行かなくて済む道具」に変わります。便利さの次元が変わるので、次回以降も自然に使われますし、周囲に勧めてもらえることも増えます。もちろんすべての患者さんが対象になるわけではありませんが、「送付」の先にこうした体験を用意しておくと、ファネルの最後の一段がぐっと太くなります。
ステップ②「メニュータップ」:ボタンだと分かること、機能が明確なこと
次に、登録はしているのにリッチメニューがタップされない段階です。リッチメニューは薬局LINEの「入口」ですが、実はここで詰まっているアカウントがとても多いです。
原因は、デザインの問題というより情報設計の問題です。
まず、ボタンだと分かっていない。 きれいな画像にしたはいいものの、押せる場所なのか、ただのバナーなのかが伝わっていないケースです。角丸や影、「タップして送信」といったラベルがないと、人は押しません。
次に、配置が分かりにくい。 6分割のメニューに「処方箋送信」「営業時間」「アクセス」「健康コラム」「求人」「お問い合わせ」が同じ大きさで並んでいると、いちばん押してほしい処方箋送信が埋もれます。ゴールに直結するボタンは、大きく、目立つ位置に、ひとつだけ置くのが原則です。
そして、機能が明確でない。 「処方箋送信」と書いてあっても、押した先で何が起きるのかが想像できないと不安で押せません。「処方箋を撮って送る(待ち時間短縮)」のように、行動と得られるメリットをセットで書くと、タップ率は目に見えて変わります。
「メニュータップ」の段階で必要なのは、①分かりやすい配置、②ボタンだと分かる見た目、③機能とメリットが明確なラベル、の3つに集約されます。
ステップ③「登録」:登録するきっかけと理由をつくる
最後に、ファネルのいちばん上、「登録」の段階です。ここで多いのは「QRコードを店頭に置いているけれど、登録が増えない」という相談です。
QRコードを置くだけでは、患者さんには登録する理由がありません。 「友だち追加お願いします」は薬局側の都合であって、患者さんのメリットではないからです。
登録を増やすには、「きっかけ」と「理由」の両方を設計する必要があります。
きっかけは、登録という行動が自然に発生する接点です。たとえば投薬時に薬剤師が「次回から待ち時間が減らせるので、LINEに登録しておきませんか」と声をかける。薬袋やお薬手帳カバーにQRコードを入れる。待合の掲示だけでなく、処方箋受付のカウンターに「今ここで登録すると、次回から送信できます」と置く。人が接触する場所と時間に合わせて配置します。
ここで薬局ならではの強みを活かしたいのが、問診票をLINEで取るという方法です。薬局は他の業種と比べてかなり特殊で、広告を打たなくても、毎月ある程度の新規患者さんが自然に来局します。そして新規の患者さんは、必ず問診票を書きます。この「必ず発生する行動」を紙ではなくLINE上で行う設計にすると、登録が「お願いして取るもの」から「受付の流れの中で自然に発生するもの」に変わります。患者さんにとっても、手書きよりスマホ入力の方が楽ですし、次回以降は入力内容が引き継がれるので二度手間がありません。薬局側も、転記の手間が減り、住所や連絡先を正確に把握できるようになります。「登録してください」と言わずに登録が積み上がる、薬局にいちばん向いたきっかけの作り方だと私は考えています。
理由は、登録した瞬間に得られる価値です。「次回から処方箋を送れて待ち時間が減る」がいちばん分かりやすい理由ですが、それに加えて、登録直後のあいさつメッセージで「まずはこのボタンを押してみてください」と次の行動(=メニュータップ)まで案内しておくと、登録がそのまま次のステップにつながります。
ここで気づいていただきたいのは、登録の段階の設計は、次の「メニュータップ」の段階と連動しているということです。ファネルはステップごとに独立しているようでいて、実際には上の段階の設計が下の段階の数字を左右します。だからこそ、全体を一本の流れとして設計する必要があります。
各ステップを「計測」できる状態にする
ここまで3つのステップの施策を整理しましたが、施策以上に大事なのが計測です。計測できていなければ、どのステップに手を打つべきかが分かりませんし、打った施策が効いたのかどうかも判断できません。
薬局LINEで最低限見ておきたい数字は、次の4つです。
友だち登録数(と登録経路)。 どの接点から登録が来ているかを分けて測ります。店頭QR、薬袋、Webサイト、投薬時の声かけなど、経路ごとにQRコードや流入リンクを分けておくと、「どのきっかけが効いているか」が分かります。
リッチメニューのタップ率。 登録者のうち、どれくらいの人が処方箋送信ボタンを押しているか。ここが低ければ、配置やラベルの問題です。
処方箋送信数(と送信率)。 タップした人のうち、実際に送ってきた人の割合。ここが低ければ、送付手順の分かりにくさや、送った後の体験に課題があります。
リピート送信率。 一度送った人が、次回も送ってくれているか。ここは「利用後に便利だと感じたか」の指標そのものです。
これらは、LINE公式アカウントの標準機能だけでも一部は取れますし、拡張ツールを使えばタップ単位、経路単位でかなり細かく見ることができます。数字がそろえば、「登録→タップが30%、タップ→送付が20%」のように移行率が見えるので、「今月はタップ率を上げる施策に集中しよう」と優先順位が決められるようになります。
これが、ファネルで考える最大の効果です。「LINEを頑張る」ではなく、「いま詰まっているこの一段を直す」という具体的な仕事に変わります。
まとめ:薬局LINE活用は「流れ」を作ってから育てる
薬局のLINE活用がうまくいかない原因の多くは、機能不足でも配信の頻度でもなく、ゴールまでの流れが設計されていないことにあります。
処方箋送信をゴールに置き、登録 → メニュータップ → 送付の3ステップに分解して、それぞれに必要な要素を整えること。そして各ステップの数字を計測して、詰まっている段を一つずつ直していくこと。これができれば、LINEは「作っただけ」の状態から、薬局の業務と患者さんの体験を実際に変えるツールになります。
薬局LINEのファネル設計、一緒に考えませんか
とはいえ、「自分の薬局の場合、どこが詰まっているのか」「リッチメニューの配置をどう直せばいいのか」は、実際のアカウントを見ないと判断が難しいところでもあります。
私はこれまで100アカウント以上の薬局LINEを構築・運用してきましたが、うまくいく薬局に共通しているのは「最初に流れを設計してからアカウントを作っている」ことです。逆に、すでに運用中のアカウントでも、ファネルを整理し直すだけで処方箋送信が動き出すケースは何度も見てきました。
薬局マーケ支援隊では、薬局の現場を知る薬剤師の目線で、ゴールの設定からリッチメニューの設計、計測の仕組みづくり、運用の定着までを一緒に進めています。「これから作りたい」方も、「作ったけれど動いていない」方も、まずは現状のアカウントを一緒に見るところから始めましょう。
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